電子透かし(Watermark)APIの実装:SynthIDなどの技術解説
「この画像はAIで作られたものか?本物の写真か?」
ディープフェイク技術の進化により、肉眼での判別はほぼ不可能になりました。そこで重要になるのが、生成されたコンテンツに目に見えない署名を埋め込む**電子透かし(Watermark)**技術です。
技術の仕組み:SynthIDの場合
Google DeepMindが開発したSynthIDは、画像、音声、テキスト、動画に対応した電子透かし技術です。
画像への埋め込み
従来の透かし(ロゴマークなど)とは異なり、SynthIDは画像のピクセル値をごく僅かに調整することで情報を埋め込みます。人間の目には全く変化が分かりませんが、専用の検出ツールを通すと明確に識別できます。
重要なのは**堅牢性(Robustness)**です。
- クロップ(切り抜き)
- リサイズ
- 圧縮(JPEG変換)
- カラーフィルター加工
こうした編集が行われても、透かしの情報は残り続けます。
テキストへの埋め込み
LLMがトークンを選択する際の「確率分布」に偏りを持たせることで透かしを入れます。特定のパターンの単語の並びが出現しやすくなるように調整されており、人間が読んでも不自然さはありませんが、統計的に解析すると「AI生成である」ことが判明します。
APIとしての実装
2026年現在、Vertex AIなどのプラットフォームを通じて、開発者向けのAPIが提供され始めています。
# 概念コード(Google Cloud Vertex AI)
from google.cloud import aiplatform
def generate_with_watermark(prompt):
model = aiplatform.ImageGenerationModel.from_pretrained("imagen-3.0")
images = model.generate_images(
prompt=prompt,
add_watermark=True # 透かしを有効化
)
return images
def detect_watermark(image_file):
# アップロードされた画像の透かしを検証
verification = aiplatform.WatermarkVerificationModel.verify(image_file)
return verification.probability # "AI生成確率: 99.8%"
今後の展望:C2PAとの連携
SynthIDのような埋め込み技術に加え、**C2PA(Coalition for Content Provenance and Authenticity)**というメタデータ標準規格の普及も進んでいます。これは「誰がいつ撮影し、どのソフトで編集したか」という来歴情報を暗号化してファイルに付与するものです。
「埋め込み(Watermark)」と「来歴管理(Provenance)」の二重の対策が、信頼できるインターネット空間を守るための標準プロトコルとなっていくでしょう。